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宝船と私達 - 嚥下

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多職種連携

「のりこめ、のりこめ」と彼女
「ん、何に?」と私

彼女が、ベッドの足もとの壁を見やると、
七福神と宝船の絵が飾られています

「元気だったときに、母と一緒に回ったんです」と娘さん
笑顔でベッドサイドに食事を持ってこられます

大阪市内の神社には、七福神が奉られており、
御朱印を集めることができるのです

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昨年の夏、生きるか死ぬかの状態のなか、
5人姉妹は家で看取ることを覚悟して、母を退院させました
毎日、毎日、入れ替わり立ち替わり、介護です

「STさん、嚥下何とかしてほしいんです」
担当CMから連絡が来ました

肺炎後、量が食べられないため、
マーゲンチューブが入ったままの退院

「とにかく、いろいろと食べていきましょう。少しでも好きなモノが食べられるように」と私

主治医、歯科医、看護師、ST、管理栄養士、CM
各々に異なる時間と内容でしたが、気持ちが一つになりました

暑さが和らぎ、秋の陽気に包まれる頃
大好きだった天ぷらそばや豚肉の煮物など、
刻んでありましたが、食べることができました

「ありがとう、おいしいわ」
素直に気持ちを話される母の言葉に、
娘さんがうっすら涙を浮かべることもありました

好きなモノを食べると、口数も多くなります
「あの宝船にのりこんだら、いいんや。
のりこめるかな?まってくれるかな?」
彼女はいつも、そう言っていました

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年末、とうとう体調に変化がありました
ほとんど食べられず、
幸いにもマーゲンチューブがあるため、
一旦口から食べることはストップになりました
STの介入もそこまでです

年が明け、CMよりメールが来ました
「昨日、ご逝去されました。ありがとうございました」と

年明けまでよく頑張ったんだな、と感じながら
ふとカレンダーをみると、まさに十日戎の当日でした

そうか!
宝船に乗りこめて良かったね!

そう想うと、
私はなんだか不思議な温かさに包まれていました

ST.ry

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